2025.8.28
■Bite-size impact
モデルプログラムのエッセンスを「Bite-size(ひとくちサイズ)」にアレンジし、半日から1日で感じていただく体験会。今回は部長がリードする「見えない資産」である無形資産の開発に焦点を当てた「DANCE THE TANGO」の圧縮版です。
人的資本やナレッジなどの無形資産の重要性は広く認知されつつあり、S&P500企業ではその比率が90%を超えるというデータもあります。また、経産省の「人的資本可視化指針」でも、中長期的な企業価値向上には、経営陣自らが無形資産の重要性を理解し、活用していく視座が欠かせないとされています。とりわけ、戦略と現場をつなぐ立場にある部長は、無形資産を価値創造につなげる要となる存在です。
そこで、無形資産という観点から、課長とは異なる視座や責任を再認識することの効果性を感じていただくべく、「DANCE THE TANGO」の一部である経営シミュレーションゲーム(Tango)を通じて企業価値の全体像を俯瞰し、人材やナレッジといった無形資産が企業価値にどう影響するのかを体感的に学んでいただきました。
■参加者の皆さんの期待や課題感
今回参加いただいたのは、IT、消費材メーカー、アパレル、電子・電気関連と、様々な業界の人事・人材開発部門、事業戦略部門の方々10名。
チェックインでは、
- 「DANCE THE TANGO」というタイトルと、会場に準備されている備品とのギャップからどのような研修内容になるのかと期待が高まっている。
- 「分かる」と「できる」のギャップがある中、それを埋めるソリューションとして経験学習が有効だと思っている。今日の自分の経験を自社に持ち帰って活かしたい。
- 自身の置かれた立場では部長層に求められる業務を想像するには限界があると感じていた。その中、部長層を対象にした研修を体験会として体験できるのはありがたい。部長層に求められる視座をワークを通して経験し、今後の企画の参考にしたい。
などの期待や課題感が共有されました。
■内容と体験の様子
その後は、大きく分けて3つの構成で進行
- 部長が果たすべき役割機能の考察
- 無形資産について学ぶ「Tango」の体験
- DANCE THE TANGOの全体像と期待される効果の説明

最初のワークでは、「課長・部長の違いは?共通する業務は?」の問いをもとにグループ毎に違いを整理しました。
「課長と部長の違いを改めて可視化をすることで、自社は部長と課長の共通業務が多いと分かった」「課長までスムーズに昇格する人がいても、そこから部長に昇格するまでのハードルが高いと感じることがあった。その差が何なのかをこのワークを通して見比べると、部長はコンセプチュアルワークやより一層のヒューマンスキルが求められるのではないかと感じた」などの声が聞こえてきました。
Bite-sizeは様々な業種、役職の皆さんに参加をいただいた会でした。そのため、本ワークとファシリテーターからのレクチャー後には、部長に求められる視座の高さについて共通認識を持つことができ、経営シミュレーションへの参加者の皆さんの期待が高まっていきました。
課長と部長の違いが浮き彫りになったところで、いよいよ本Bite-sizeのメイントピックである経営シミュレーションです。
本来のプログラムでは7年度分の経営を体験いただきますが、今回はBite-size。4社(グループ)に分かれて、4年度分の経営を体験いただきました。参加者のみなさんは、それぞれの企業にて「HR &Development」「Marketing &Salse」「Planning&Delivery」「Finance&Control」の役割を分担し、自社の経営意思決定を行いました。

本シミュレーションには2つの市場が用意されています。一つは顧客マーケット、そしてもう一つは人材マーケットです。売上形成や資金繰りはもちろんのこと、顧客ポートフォリオ、人材、組織のイメージやノウハウなどに注意しながら、各社は企業価値の最大化を追及していきます。シミュレーションには「正しい答え」はありません。実際のビジネスと同様に、外部環境が目まぐるしく変化していく中で、限られたリソースを傾斜配分し、競合との違いをつくっていく。それを異なる役割責任を持ったメンバーでの意思決定を繰り返しながらゲームは進行していきました。
実際のシミュレーションでは、「新規採用に踏み切るべきか、それとも現有戦力で乗り切るべきか」といった戦略的な判断をめぐり、各社内で白熱した議論が展開されました。HR & Development担当者が提示した採用方針に対し、Marketing & Sales担当者からは「イメージ価値を高めるため、今こそ攻めるべき」との主張があり、役割ごとの視点の違いが鮮明に浮かび上がる場面も見られました。
一方で、競合他社が有力な人材候補を次々と獲得していく状況も発生。他社の動きを横目に、限られた時間の中でスピード感ある意思決定を迫られる状況です。研修室のあちこちでは、まるで実際のビジネスさながらの熱気が漂いました。
ゲームの展開は2年目終了時点まで各社が接戦を繰り広げましたが、3年目以降から徐々に差が開き始め、最終的にはイメージ価値の向上に成功したβ社がα社を逆転し、トップの座を獲得しました。

■「DANCE THE TANGO」に触れての気づき
今回はBite-size。全2回(計3日間)のプログラムのごく一部のエッセンスを抽出し、ご体験いただきました。会の最後には、このような気づきのコメントがあがっていました。
- 売上獲得により基盤を作り、企業価値を上げながら有形資産を管理し、利益を上げていくバランスの難しさを痛感した。
- 顧客ポートフォリオを見直し、顧客と社員とのマッチングを最優先した採用をしてイメージ価値を上げていった。それが結果に良い影響をもたらした一方、社内の権限委譲と経営の整合性については、短時間で意思決定をする難しさを感じた。
- シミュレーションでの経営を振り返ると、長期的な視点でのジョブアサインについては課題が残る。社員に3、4年同じ業務をやってもらっていた。守りの経営だったと言えるが、結果的に社員の成長機会を作れなかったことで、この先社員の流出の懸念もあると感じた。実ビジネスでも起きていないかと振り返るきっかけとなった。
- 採用マーケットでの競争に負け、欲しい人材が採用ができなかった。結果、投資せず、無形資産、有形資産も増えない経営状況だった。いわゆる無借金経営で、投資をしないことでビジネスがシュリンクすることを体感できた。無形資産と有形資産のバランスがいかに重要なのか考える機会となった。
事業戦略と実行について、日頃から課題感を持つ参加者の皆さまだからこそ、このような気づきが共有されたのではないかと感じました。
■実際のプログラム「DANCE THE TANGO」
モデルプログラム「DANCE THE TANGO」では、自社との類似点や自社の無形資産について考えていただく呼び水として経営シミュレーションTangoを使っています。今回はBite-sizeのため短縮版としてご体験いただきました。本来のプログラムはTangoを通した経営シミュレーションが8.5時間、自社や自部署の現状についてのレビューに7.5時間費やし、部長として果たすべき役割機能と組織としての課題を丁寧に洗い出していきます。
約1カ月間の職場での実践期間を経て、フォローアップでは組織カルチャーをどのように進化させていくのかをサーベイフィードバックを用いて設計します。
ビジネスパフォーマンスは戦略の質と組織カルチャーのかけ合わせでうみ出されます。目に見えない、しかし厳然としてそこに存在する無形資産「組織カルチャー」をどのように進化させていくのかを設計し、実践していくことは部長の本分です。
「DANCE THE TANGO」は、そのことに気づかせ、自律的な行動変容を促すプログラム。各社に合わせたカスタマイズも行っておりますので、ご興味を持って頂けた方は、お気軽にお問い合わせください。

※DANCE THE TANGOコンセプトと開発背景はこちら
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Bite-size impactは、毎回テーマを変えて実施されます。
各コンテンツの簡易体験はもちろんのこと、「異業種の人事や研修担当の方と情報交換できたのも良かった。共通のゲームを経験し、その後の意見交換を通して壁打ちできた感覚が得られた」という副次的な効果もございますので、ぜひご参加ください。
■今後のBite-size impact開催案内
MAJOR UPDATE:新任管理職としてのマインドセットの更新
日程:2025年9月3日(水)13:00~17:30
【Bite-size impact】新任管理職の立ち上げ支援をテーマとした体験会のお知らせ | Impact