2025.7.28
■Bite-size impact
モデルプログラムのエッセンスを「Bite-size(ひとくちサイズ)」にアレンジし、半日から1日で感じていただく体験会。今回は「CONTEXT SENSITIVE LEADERSHIP」の圧縮版です。
意思決定のスピードアップや総人件費の抑制など様々な狙いや事情から進められてきた組織のフラット化。管理職のスパン・オブ・コントロールは限界を迎え、自らもプレイヤーとしての業務を抱えながら、コンプライアンスや社員エンゲージメントなど様々な要求に圧倒されているのではないでしょうか。
もはや「罰ゲーム」と揶揄される管理職の姿は、次代を担う社員のマインドにも影響を及ぼしています。ある調査では、一般社員の77.3%が「管理職になりたくない」と回答しています。これは組織の発展どころか、存立にとっての危機と言えるのではないでしょうか。
やるべきことが常に付加されてしまう管理職の方々に、今この時点における「最適化」の発想を提供することが必要ではないかと考えます。そこで今回は、既任管理職の方々がご自身の置かれているコンテクスト(文脈)において注力すべき(すべきでない)働きかけを見出していくプログラム“CONTEXT SENSITIVE LEADERSHIP”の中から、RE:SHAPEというオンラインカードゲームの体験会を実施しました。
■参加者の皆さんの期待や課題感
ご参加いただいたのは、消費材メーカー、自動車、食品、IT、建設、飲食業と様々な業界の人事・人材開発部門、デザイン部門の方々10名。
チェックインでは、
- 長年ミドルマネージャーの開発に課題がある。何かヒントを得たい
- 研修をして終わりではなく、継続してピープルマネージャーの能力を上げていく必要性を感じている
- 現在もリーダーシップ研修を実施しているが、他階層への展開を検討したいと考えている
などの期待や課題感が共有されました。
■内容と体験の様子
RE:SHAPEは、自律的な組織の成長を目指し、組織に今あるリソース活用に有効なリーダーシップ発揮の観点を探っていくオンラインカードゲームです。開始時点ではチーム毎、ランダムに組織行動カード(例:ビジョンの共有、プロセスの明確化等)が配布されています。各チームは、利益を出すために優先順位が高いと考える行動を決めて実行していきます。期毎に決算を行い、利益を算出。各行動の実行時に得られる「業務課題(Task:T)」「関係性(Relationship:R)」「変革(Change:C)」3種類のポイントが、最終利益に影響していきます。複数回の期を経て、最終決算での利益額を競い合います。

期中、参加者からは「先が全く見えない」「このまま進んでよいのか不安だ」「正直、なぜ他チームより利益が出ているのかわからない」などの声が上がりました。3つの要素が、どのように利益に影響を与えるのか。ゲーム終盤までロジックについて仮説が飛び交い、試行錯誤が続きます。

そして最終利益発表後の振り返りでは、「最初はどの要素が、何にどう影響するかわからなかった。だからといって立ちすくむのではなく、分からないなりに動く大切さを痛感した」「試行錯誤していくと、アプローチの選択肢が広がると感じた」との声が聞かれました。
ゲームの後は、対話セッション。参加者の皆さんと、各社のTRCバランス(業務課題、関係性、変革のバランス)について考察し、共有しました。ある方からは、「今は立ち上げ期なので、このようなバランス。事業戦略から考えると、今後はこういったバランスに変えていきたい」とのお声が。またある方からは「改めて考えてみると、自社のマネージャーは関係性に寄り過ぎているようにも感じた」「TRC比率は、各社それぞれ違うと知れた。同時に我が社にとって、最適なバランスを考える参考になった」というコメントもありました。

■「CONTEXT SENSITIVE LEADERSHIP」に触れての気づき
今回はBite-size。全1.5日間のプログラムの一部のエッセンスを抽出しての体験の場でした。ラップアップでは、以下のようなコメントが出ました。
- 不確実性の高い中でものごとを進める。ゲームで求められる行動は、まさにマネージャーが求められていることだった
- (TRCの観点は)マネージャーが現場で思い出し、ヒントにできる。実践の場で、彼らのサポートとなりそう
- レクチャーを受けるだけではなく、ゲーム経験から、自ら気づきを得ていくことができる。経験学習のパワフルさを感じることができた
所属組織やチームのコンテクストの中で、様々なジレンマを抱え、試行錯誤するマネージャーたち。彼らが、リソース活用のためのリーダーシップ発揮の観点とその最適バランスを、安全に失敗できるゲームの中で試すことができる。そう感じられる場となったように見受けられました。
■実際のプログラム「CONTEXT SENSITIVE LEADERSHIP:CSL」
モデルプログラムCSLは、自分の得意なリーダーシップスタイルや世の中のリーダーシップ論に捉われるのではなく、自組織の目標と文脈を捉え、そのコンテクストと自分らしさの掛け合わせから成る自分ならではのリーダーシップを探求する場となるよう、デザインしています。プログラムコンセプトは、「流れを捉え、型を究める」。オンラインと対面モジュールの全2回で構成されています。

Module 1は、2種のゲームと対話セッションを組み合わせたオンライン型実施です。1つ目のゲームは、キャリアとリーダーシップの振り返りを目的として、2つ目のゲームは今回体験いただいたRE:SHAPEです。アメリカの研究者、ゲイリー・ユクル(Gary Yukl)が提唱する、リーダーシップ行動の3要因:業務課題(Task)、関係構築・維持(Relations)、変革(Change)。マネージャーは、これら3つの観点からなる行動を、組織の状況に合わせて濃淡をつけ実践することが重要だ、との体感的理解を深めます。
Module 2は、対話セッションをメインに集合対面型にて実施します。所属する職場の状況を図示・言語化し、他の研修参加者からアドバイスをもらうセッション、事前実施した360°サーベイの結果の読み解きセッションを行います。
特に一般的な360°サーベイのフィードバックでは、フィードバックを受ける側が少なからぬショックを受ける、と多くの企業様から伺います。本プログラムでは、先にゲームを用いて、サーベイの大項目とリーダーシップ発揮の3観点について楽しみながら理解することで、このショックの緩和を図ります。このようにフィードバック内容を受け止め、咀嚼する準備を整えたうえで、セッションを行う。そうすることで、参加者が内省を深め、自己の開発課題に向き合える時間とする設計となっています。
CONTEXT SENSITIVE LEADERSHIPコンセプトと開発背景はこちら
Bite-size impactは、毎回テーマを変えて実施されます。
各コンテンツの簡易体験はもちろんのこと、「異業種の人事や研修担当の方と情報交換できた」「他社からの参加者の意見や考えに触れることができ、参考になった」という副次的な効果もございますので、ぜひ、ご参加ください。
■今後のBite-size impact開催案内:
DANCE THE TANGO:上級管理職として持つべき視座
日程:2025年8月21日(木)
対面にて開催予定
MAJOR UPDATE:新任管理職としてのマインドセットの更新
日程:2025年9月3日(水)
開催形式検討中