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【Column】すべらない社内企画づくりのポイントと避けたい2つの罠

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2023.8.28

この3年とそれ以前とを比べた時、働き方の多様性が増した組織は多いのではないでしょうか。 
必ずしも「全員が出社して働くこと」が成果を保証するものではない。そんな共通認識ができる一方で、リモートワーク含めた様々な働き方の混在により「チームの一体感」「多様な背景を踏まえたコミュニケーション」に関する課題を耳にすることも増えました。 

そんな中、経営層から、社内の企画担当部署に対して「数年ぶりに部署全員で集合する場が持てる。この機会に一体感を高める企画をしよう」というお題が出たとします。この場合、どのように企画を描き、社内を巻き込み、実行へと進めていきますか?今回は、私が社内イベントを企画する中で痛感した「すべる企画づくりが陥る2つの罠」と、そこから感じた改善のヒントをご紹介します。 

そもそも、企画づくりとはなにか。それは現状の課題を踏まえたうえで、明確な「目的」のもと、目指す「ゴール状態」へと近づける。その課題解決のためのプロセス設計だと考えられます。 

しかし上席から「一体感を高める企画を」と聞いたとき、やりがちなのが「一体感を高めるためのコンテンツ探し」からスタートしてしまうことです。例えば今回のケースでは、すでに実施条件として「全員が集合する場で」と規定されていることもあり、つい、次に決めるのはコンテンツだとばかりに飛びついてしまう。そんなことがありませんか? 

これは他でもない私自身の話です。企画づくりのチームにアサインされた際、張り切って実施コンテンツ検討から取り掛かってしまいました。チームで「よさそうなコンテンツ」(できれば今までにない斬新なもの)のアイディアを出し、何度も会議して提案検討しましたが、どの案にもそれぞれの良さがあり、最終的な決め手に欠く。何とか選んで上司に提案をしても、ゴーサインが出ないことを繰り返しました。そのなかで2つの罠にはまったと感じました。 

一つ目は「バズワードの罠」です。今振り返ると、メンバー全員がお題の「一体感」という言葉を各々の理解で捉えていました。社内課題だからこそ、「上司はこういうことが言いたいのだろう」「こういう課題のことを指しているのだろう」という思い込みがそれぞれにあり、個人の想像できる範囲でわかった気になっていたように感じます。もちろんそのままでは企画が通らないので、改めて上司と理解をすり合わせる機会を複数回持つのですが、その意図やニュアンスをつかみきれるまでに多くの時間を使い、また手戻りも発生させてしまいました。ここに二つ目の「ゴール状態の罠」がありました。 

「ゴール状態の罠」とは、特に組織・人材開発に関わる取り組みでぶつかりやすい罠と言えます。その理由は、組織変革やリーダーシップ、マネジメント能力開発の度合いは、目に見えない、測りづらいという特性があるからです。今回のケースで言えば、チームビルディングという「目に見えないけれど、確かにそこにあること(あるいは足りないこと)が感じられ、かつ成果に間接的に影響を及ぼしていると思われる」ものにアプローチし、高めようとしています。だからこそ、「この企画に時間と費用を投じることで、イベント後にチームがどういう状態になっていたら成功と言えるのか」を明確に規定することが容易ではありません。 

では、これらの罠にはまることなく、企画づくりを進めるには、どうしたらよかったのか。ひとつのヒントとして、「フロントローディング」という考え方があります。フロントローディングとは、業務の初期工程に負荷をかけ、作業を前倒しで進めること、初期段階での品質作り込み(*1)をすることです。もともとは建設やメーカー、ITなどプロジェクトワークで使われる用語であり、私にとってはなじみの薄い用語でした。 

今回この考え方を応用すると、最初にすべきだったのは、プロジェクトオーナーの時間を押さえ、企画の根幹となる 

  • なぜ「一体感」を高めたいのか 
  • なぜ「いま」なのか 
  • 「一体感が高まった状態」とは、具体的にはどんな状態をイメージしているのか 

これらについて、企画チーム全員が「同じものが頭の中に描けた」と腑に落ちるまで深くヒアリングし、認識を統一することでした。 

ここを初期段階で揃え切らず、なんとなくわかったつもりで動き出してしまった私たちチームは、最終的には、気合いと根性で企画を完成させ運営準備し、イベントの実施に間に合わせました。実施後アンケートでは参加者からのポジティブな感想を確認でき、チャレンジしてよかった、とも感じました。しかし直前の準備タスクの集中や運営への不安、ギリギリで巻き込んだ他部署メンバーへの負荷など、多くの反省が残るプロセスとなりました。 

この手痛い経験から、以降の仕事の進め方では、①企画の初期の時点で、②プロジェクトオーナーと「今回、何を目的にどんなゴール状態を目指して、企画を打つのか」を言語化することを強く意識しています。そうすると、進める中でメンバーや上司から自分の認識とは違うコメントが出た際にも、早期に確認と軌道修正ができます。ここがあやふやなままの企画づくりは、「進めている感じは出る」けれども、「的を射ない」ものになってしまう。これがすべる一つの原因なのかもしれません。 

また今回のコラムを作成中に上司から「『ゴール状態』もある意味ふわっとしてバズワード化しやすいよね」と指摘され、ハッとしました。ゴール状態の言語化については、例えば、終了時の感想共有で「他部署のメンバーに雑談のインバイトをかけます」という発言が出ている、とか、商談同行が増えるなどの、成果に関連する重要な行動(クリティカル・ビヘイビア)を実際に見聞きできるレベルで、具体的に例示してイメージを共有する方法があります。今回のこれら観点が、実践に役立つものとなれば幸いです。 

*1 日経クロステック:フロントローディング | 日経クロステック(xTECH) (nikkei.com) 


(Written by Maruko、Planner) 
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