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Leadership

【Column】「権力なし、権限なし」で新たな取り組みを進めるには

【Column】「権力なし、権限なし」で新たな取り組みを進めるには
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2022.7.14

「権限・権力なしに、どうやって物事進めるの?」

と思われた方はいらっしゃいませんか。

権限・権力なしに組織の中で新しい取り組みを進めなければならないことは、決して少なくありません。業務改善、何かの導入や推進などの担当といった場面において、よく見られるものです。この記事を読まれているあなたの会社にも、そうした役割を担っている方はいらっしゃるのではないでしょうか?特に中堅社員とかあたりに。

かくいう私も、昨年秋からインパクトジャパンで始まった「コラムリレー企画(本コラムのような記事の持ち回り執筆制)」の推進担当です。このコラムリレー、執筆は社員の本業でもなければ評価対象でもないのです。つまり、私には書かせる権限も権力もありません。そうなると、進まない、ずるずる遅れるなどの問題が起きてくるものです。執筆を担当する社員には、同僚だけでなく、私より職階が上の者もいます。私には、そうした中でリーダーシップを発揮し進めていくことが期待されているのです。

リーダーシップには、対人影響力が求められます。では、何を基に影響力を行使すればいいのでしょうか?アメリカの社会心理学者のジョン・フレンチとバートラム・ラーベンは1950年代に、その源泉を下図のように5つに分類しています。ここでは、新しく当社の解釈を加えたものをご紹介いたします。

正当性とは、公式な地位や立場に基づく力を差します。権限であるともいえるでしょう。

報酬と強制は、賞罰によって指示や命令などに従わせる力です。これらは権力とも言い換えられるでしょう。

準拠は、「この人と同じようになりたい」、「この人に近づきたい」という憧れのようなものを抱かせることで従える力です。専門性は、「その道のプロだな」、「この人すごいな」と思わせ、「この人が言うならきっと正しいだろう、うまくいくだろう」と従わせる力です。これらは、人間性や能力を根拠として他人が自発的に従おうと思わせる、権威とも呼べます。

BasesOfPower_ImpactJapan

今回はタイトルにもある通り、権限・権力がない中での進め方です。戦い方がないようにも思われるこの響きですが、権威がまだ残っています。

私の場合、人があこがれるような名文はスラスラ書けないので、準拠は望み薄であると認めざるを得ません。よって、専門性で勝負するほかありません。執筆サポートを専門として極めることで、書きやすさを促進させるのです。

幸いにして、以前勤めていたPR会社での経験が活かせるのではと考えています。文章のテーマ決めや構成、編集などは何とかなりそうですし、周囲の社員もそう感じてくれているという感触はあります。

具体的にはどうするのか。執筆を担当する社員は、書きたくて書くのではなく、書くことに動機づけられていません。そんな社員を、なんとかして「これなら書けるかも」という状態に持っていく必要があります。社員は、普段自分たちが実践していることについて、書くことを前提に思考しません。思いはあるけれど、表現できない、言語化できていない状態とも言えるでしょう。それを引き出す関わりをするといった具合です。そのほかには、緩急つけつつ、催促をあの手この手で繰り返すなどです。

こうしたサポートが効いてきたのか、予定通り進行するコラムも出始めてきています。

これまで見てきた通り、権限・権力なきリーダーシップで物事を進めるのに必要なのは権威です。その権威を行使するには、自分の中にその源泉として、準拠があるのか専門性があるのか、それともその2つを手にしているのかを見極めることが重要だと言えるでしょう。

そのためには、自身の人間性や能力、経験の把握が求められます。また同時に、他者から現在どう見えているかを把握している必要もあります。前者は自分で自分をどれだけ把握しているかであり、アメリカの組織心理学者のターシャ・ユーリックが言うところの内面的自己理解です。後者は外面的自己認識にあたります。

ユーリックによれば、内面的自己認識と外面的自己認識の高さは、周囲の満足度と強相関にあるそうです(1)。そして、自己認識を高めるためには、「なぜ」より「何」に重きを置いた客観的かつ生産的な内省(1)や、他者からのフィードバック、360°調査などのレポートなどを用いるなどが考えられます。

いかがでしょう?

ご自身が権限・権力がない中で物事を進めていくことを求められていたり、周囲の方が悩んでいたりはしませんか?

権威を使って進めるためにも、ぜひ自己認識の向上に取り組んでみてください。


(1) ターシャ・ユーリック(201829)「リーダーに不可欠な『自己認識力』を高める3つの視点」、https://www.dhbr.net/articles/-/5215 (最終アクセス日:20227月14)


(
Written by Pin、Creator、Brand Enhancement Department)
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