2026.7.3
近年、新入社員は「早く成長したい」という意欲を持つ一方、現場では育成時間の確保が難しくなっています。 そのギャップを埋めるため、プログラム「SHIFT」は、OFF-JTとしての研修の場で、自律的に成長するマインドセットと、経験から学ぶ力の習得を重視しています。
今回のBite-size impact(体験会)では、そのエッセンスを体験いただきました。新入社員にまつわる問題意識を、ご参加いただいた企業の方々同士で意見交換し、適切な成長支援とはどのようなものかを模索していった様子を、レポートとしてお届けします。
■期待と課題感
ご参加いただいたのは、製造、サービス、情報・通信、電機・機械、金融など様々な業界の人事や人材開発、事業部門の方々13名です。チェックインでは、今回のBite-sizeへの期待として、以下の声が挙がりました。
- 若手育成の新しい企画を検討したい
- 変化の激しい環境で、新入社員育成をどう変えるべきか知りたい
- AI活用が進む中、「あなたにしかできない価値」をどう育てるか悩んでいる
- 各年次研修をつなぐ“軸”を見つけたい
共通していたのは、新入社員「研修」をどう改善するかではなく、育成支援全体をどう再設計するのか、できるのかという問題意識でした。
そんな新入社員をひとり立ちさせるための支援として、
- インプットを必ずアウトプットさせる
- 失敗から学ぶ経験を持たせる
- 初期にフィードバックを行い、成長実感を得られる場をつくる
といった意見が共有されました。

■体験会の主な内容
その後は大きく分けて2つの構成で進行しました。
- 経験学習メソッドを用いた2つのアクティビティの実体験
- 自己診断ツール「BEHAVIOR INVENTORY(BI)」の紹介
最初のアクティビティでは、目的達成に向けた「必要十分なコミュニケーション」とはどのようなものなのかを考察しました。
実務経験が豊富である参加者からも、
- 行動特性がそのまま表れる
- 自分から発信しないと進まない
- 発信・受信の質を振り返る重要性を実感した
といった声が挙がりました。新入社員であれば、この傾向はより顕著に現れます。

この後の簡易レクチャーでは、コミュニケーションミスの起こる構造を説明する「コミュニケーションプロセスモデル」や、新入社員が自律的に成長するために必要な「プロアクティブ行動(一個人が環境や自分自身に影響をおよぼそうと働きかける先見的な行動)」などに関連付けてご説明しました。疑似体験をした後だからこそ、こういった「べき論」を自分事として受け入れやすくなります。
続くアクティビティでは、情報格差のある役割に分かれて協同作業を行いました。視覚情報が制限された状況(知識や経験がない新入社員のメタファー)でも指示待ちにならないためには、どんな働きかけが有効なのかを感じてもらう疑似体験。事後のコメントでは、
- 伝えたつもりでも伝わらない
- 前提を共有することの重要性を再認識した
- 情報が少ない側は、何が分かっていないのかが言語化できない。伝える側(先輩・上司のメタファー)も、何が分かっていないのかに共感できていない可能性がある
など、新入社員の置かれる状況に重ねた気づきが多く共有されました。「分からないことがあったら、いつでも聞いてね」と言われても、質問ができない理由は単なる「やる気」だけではないということを身をもって経験することができます。
説明責任と質問責任と主張責任の「3つの責任」を自覚することが、前述のコミュニケーションプロセスモデルやプロアクティブ行動につながっていくことを簡易レクチャーでご紹介しました。このように実務で陥りやすい状況を疑似体験することによって、「あぁ、あの時と似たような状況になってるぞ」というデジャブ(既視感)を得ることができる、これが経験学習メソッドの価値の一つでもあります。

最後に、現状のビジネスビヘイビアの実力を棚卸するためのアセスメントツール「BEHAVIORS INVENTORY(以下BI)」をご紹介。実際のSHIFTでは、このBIを用いて、実務上である程度できている点と足りていない点を詳らかにして、今後の能力開発課題を明確にします。それを上司に報告することで自らフィードバックを取りに行くというアクションを起こしてもらう。このように単なる気づきで終わらせずに、OJTでの実践や支援を引き出す構成になっているのが特徴です。

■「SHIFT」に触れての気づき
今回のBite-sizeで体験いただいたのは、「SHIFT」のごく一部です。体験の終盤にプログラムの要点を再度ご説明しました。
- 経験からの学び方の習得
- アセスメントツールBEHAVIOR INVENTORYによる現状の棚卸
- 自身の能力開発課題の焦点化
クロージングでは、
- 新入社員を含む若手育成を継続的に見直す必要性を感じた
- 行動特性が自然と表れる体験は、内省を深めるキッカケになる
- 成長実感を得られる関わり方には工夫の余地がある
- (他の参加者との)異業種の情報交換が参考になった
- 従来やっていることの踏襲ではなく、今に即した見直しをかけていきたい
などのコメントが寄せられました。
SHIFTは「成長のギアをSHIFTする」をコンセプトとして掲げています。新入社員育成を従来の「入社直後の知識付与中心」から、 配属後の実経験を起点にした「自律的成長」へと転換し、新入社員が自分自身で学ぶ力をつけていく。
今回の参加者の皆様は、新入社員研修の中身の見直しに留まらず、人事をはじめとした育成側の関わり方もまたSHIFTしていく必要があるとの一段深い考察をなさっていたように見受けられました。この後の交流会でも活発に意見交換をなさっており、副次的ではありますが企業の枠を超えた人事交流ができたこともBite-size impactの価値として感じていただけたのではないでしょうか。

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