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【Column】Experiential Learningの位置づけ:オンラインvs.対面を乗り越えて

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2023.01.24

厳しい状況が続く新型コロナの第8波。このぐらいの季節になってくると、2020年のことが思い出されます。 

2020年春、新型コロナの影響により、多くの企業がスタンダードとしてきた従来の集合型(対面型)の研修を実施することができなくなりました。新入社員研修を目前に控える中のことでした。 

私たちもまた、研修内容の見直しや延期といった連絡をクライアントから受けるといった事態がしばらく続きました。ほとんどのクライアントにとって、対面型で研修は取りやめ、既存のe-learningや単方向型の講義スタイルのオンライン研修へ切り替えざるを得なかった、そんな状況だったと記憶しています。 

読者の方の中には、急なオンラインへの研修切り替えに伴い、研修デザインの見直しや運営機材などのハード面での準備まで、実際運営するまでに相当時間を費やされた方もいらっしゃることと思います。 

当時、ハイコンテクストな研修は、そのままオンライン化して実施するのには不向きと言われていました。いわゆるコミュニケーションの基盤となる共通言語や知識、体験といったものが求められるワークショップ主体の研修や体験型と言われる研修です。 

しかし、時がたつにつれその後リモートワークの普及とともに、オンラインの研修も多様化されていきました。チームビルディング型なども出てくるなど、webinarやe-learningとは異なる多様なスタイルのものが登場しました。 

そのころ、インパクトは、対面が忌避される状況が続いたこと、またクライアントの要望もあったことから、オンラインへ転換することが避けて通れない状況にありました。この難所を乗り越えるべく、タスクフォースを立ち上げ、21のチームが競い合いながらオンラインプログラムのコンテンツ開発に乗り出しました。バーチャルな環境下で体験型の要素と双方向性を持たせた研修スタイルを確立するために、自ら参加者となって何度も検証を繰り返し、経営陣に何度も突き返されながら生み出したのがVEL(Virtual Experiential Learning)※です。 
※従来からのインパクトの対面型の集合研修はPEL(Physical Experiential Learning) 

インパクトのVEL。このスタイルの大きな特徴は、対面型に引けを取らない「職場で起こる事象の疑似体験による没頭の度合いの深さ」と「内省の深さ」にあります。職場で起こる事象の疑似体験については、オンラインでありながら、「これってまさに自分の職場でおきていることだよね」と体感することができるチーム活動を経験することができます。また、そうした活動には、気づけば画面上で熱中している要素が含まれており、没頭の度合いの深さが織り込まれています。 

内省については、オンライン上であっても、対面時と同様に、参加者とファシリテーターの対話の質の高さが求められます。そのための運営準備としてのハード面も整えました。その一つに大画面モニターがあります。ファシリテーターにとって参加者から発せられる非言語コミュニケーションをうまく読みとれるかどうかは、ファシリテーション上欠かせない要素の一つです。大画面のモニターを通して、複数同時に映し出される参加者の表情やしぐさを読み取り、進行に反映させていきます。このモニターに限らず、運営用のハード面では、参加者の集中を切らせないためのネットワーク環境や高スペックのPC、ノイズやストレスをかけないためのマイク、カメラ、これらに至るまで徹底してこだわり、最適な環境を構築してきました。その果てには、配信スタジオ機能を有するオフィスに移転するまでしたのです。 

開発から最適な環境の構築を経て、今は対面型のプログラムと比べ選択肢や研修効果といった点でそん色ないレベルです。世の中の研修プログラムの多様化にも寄与しているという自負があります。 

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研修をクライアントの課題解決ツールと位置づけ、VEL開発に心血を注いできたからこそ分かったこともあります。従来からの対面で行う集合型研修から、なんでもかんでも置き換えが可能ではないということです。特に、他者とのやり取りを前提とした能力開発、いわゆるSEL(1)では、対面による学習が優れていると言えるでしょう。特にリーダーシップ開発においてはその傾向は顕著だと考えます。他者との直接的な関わりがある中で、今そこで起こっている様々なことに意識を広げ、自分の行動をその場で振り返る、そしてすぐにその場でまた行動を起こしてみるといった学び方が求められるからです。 

新型コロナとの向き合い方も変わってきた今、オンラインか対面という2択でとらえるフェーズは乗り越えるタイミングだと言えるでしょう。研修という課題解決ツールを通じて何を起したいのか。目的に立ち返り、世の中に数ある研修プログラムの選択肢の中から、制約条件を踏まえつつ、時に使い分け、時に組み合わせながらデザインしていくことが必要だと考えます。 

(1) Social and Emotional Learning。すべての若者と成人が、健全なアイデンティティの発達、感情のコントロール、個人およびチームとしての目標の達成、他者への共感、サポーティブな人間関係の確立と維持、責任と思いやりのある意思決定といったことのための知識、スキル、態度を身につけるプロセス。Collaborative for Academic, Social, and Emotional Learning「Fundamentals of SEL」、https://casel.org/fundamentals-of-sel/ (最終アクセス日:2022年9月13日)より私訳


リーダーシップの開発 
(Written by Yasu, Project Designer, Client Success Department) 
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