2022.10.04
昨今会議にも生産性が問われるようになりました。情報共有だけであれば、チャットや動画でも代替できます。だからこそ、社員が予定を合わせて集まる会議には、付加価値が求められるのではないでしょうか。
私たちimpactでは、全社での定例会議を、Sharing+Principles Sessionと名付けています。今回、インターナルブランディング(人事)を担当するShellyに、その位置づけについて語ってもらいました。(聞き手:エクスターナルブランディング担当Maruko)
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Maruko: Sharing+Principles Sessionはどのようなものか、改めて聞かせてください。
Shelly:一言でいうと、定例での全社会議ですね。でも一般的な全社会議とは少し考え方が違っていて、単に情報を伝えるための場にはしていません。今は2か月に1回の頻度で約3時間半、SharingとPrinciplesという2つのパートで設計しています。
Maruko:2つのパートに分けている理由は何ですか?
Shelly:目的が異なるためです。Sharing は、どの企業もやっていると思いますが、業績やOKRの進捗確認の場です。一方、Principlesは、私たちの人材ビジョンでもある「ロジクリエイティブ・プロフェッショナルズ」に近づくための能力開発の場として位置づけています。
会議は3つの責任を果たす場
Maruko:定例会議というと、多くの会社では発表を聞く場になりがちなのではないでしょうか。
Shelly:そう思います。私自身の過去の所属組織でも、全社員がこの頻度で集まること自体まれでしたし、また集まったとしても説明を聞くことが中心でした。一方、現在運営するSharing Sessionでは、事前に資料を読み込んで質問を考えた上で参加することがマストです。会議中に自分の部署に関連があることや、興味のある話以外は、発表を聞き流す、中には内職をしていることもある、といった話をクライアントから伺うこともありますが、その状態を起こさせない(笑)仕組みです。
実際、整理された部門長の発表を聞くだけでは、わかったつもりになりがちです。受動的に聞くだけではなく、自分や自チームに引き寄せていく。そのために会議参加者には3つの責任があると毎回リマインドしています。1つ目は発表者の「説明責任」、2つ目は参加者全員の「質問責任」、そして3つ目は互いに主張すべきところは「主張責任」を果たすことを求めています。
また、ただ「ちゃんと質問しましょう」との声かけだけではなく、この3つの責任は、私たちのPrinciplesにも定めています。仕組みだけではなく、この3つの責任を果たすことが社員としての当たり前の行動である、とPrinciplesとの紐づけを伝え続けています。
Sharingは、説明3分、質問15分超
Maruko:実際、Sharing Sessionの時間配分も1年前と比べても変わっていますね。
Shelly:そうですね。最近は部門長に「説明は3分でお願いします」と伝えています。むしろ重視しているのは説明「後」です。参加者がチームで質問を考える時間を取ります。質疑応答に使う時間は合わせて15分。戦略自体の説明ではなく、その意味付けや目指す先のニュアンスなどを全員が咀嚼する場として、発表の5倍の時間を確保しています。 この配分は、以前プログラムをご一緒させていただいた前田鎌利先生のお話を参考にもしています。
Sharing Sessionでは、どれだけ現状への理解と次にとるべき行動への肚落ち度が深まったかを重視しています。 周知と共有は違う。トップとメンバーの頭の中に同じ画が浮かんでいないと共有にはならない。だからこそ、質疑応答の時間を大切にしています。
Principles は、「実践の起点」
Maruko:Principles Sessionのデザインも特徴的ですよね。
Shelly:Principlesとは、ご存じの通り行動原則のことです。私たちは2024年にそれまでのValues改め、impact社員としての望ましいふるまいであるPrinciplesを設定しました。そして、定例全社会議内に「言葉としては理解している行動原則の意味、解釈を深める」ことを目的とした時間を新たに設けました。
Maruko:6つのPrinciplesをより腑に落とす、また日々の実践への一歩に繋げるような対話を行っている時間だと感じています。
Shelly:そうです。例えば、先月は「レジリエンス」をセッションテーマにしました。社員からは「ワークで扱ったフレーム自体は知っているのに、実際の振り返り時にうまく使えていなかった」とのコメントが出ていました。対話を通して、自分の現状を客観視する。それが次の行動につながると考えています。
一番難しいのは「教えすぎない」こと
Maruko:そのような意図を持ったSharing+Principles Sessionですが、企画運営する人事として、難しさを感じることはありますか?
Shelly:難しさは、たくさんあります。特にPrinciples Sessionは、人事が企画すると、「教えたく」なる誘惑があります。Principlesでいえば、こうあるべきと目指したい理想を語ったり、有益なセオリーについて、ついレクチャーしたくなる。でも実際に人の行動が変わるのは、教えられた時よりも、自分で気づいた時なんですよね。
Maruko:確かに、自分自身を振り返ってもそうですね。行動を変えようと感じるきっかけは、マネージャーとのOne On Oneでの対話など、それまでの思い込みへの気づきがあった時の方が背中を押す効果があるように思います。
Shelly:一方向のレクチャーをできるだけ減らして、対話の時間を増やす。とはいえ、いきなり「グループで対話してください」と問いを投げても、意味のある時間は生まれません。だからこそ毎回、どんな問いを置くか、どんな題材を使うか、どこまでをゴールにするか、ここが頭の使いどころだと感じています。時にはアプリゲームを使ってみたり、色々試しています。
実際に起きている変化
Maruko:ここまで取り組んできた中で、社内の反応や行動の変化の兆しは感じますか?
Shelly:ありますね。私は中途入社2年目なのですが、今年の4月からSharingの設計を見直しました。頻度(月1回から隔月へ)や説明時間配分を変えるなどの変更にトライしてみたところ、まずマネージャー陣からのアンケートコメントがよくなりました。
Maruko:それはなぜだと考えますか?
Shelly:以前は「苦労して時間をかけて資料を作ったのに伝わった手応えがそこまでない」という感覚があったのではないでしょうか。でも今は、質疑応答時間を厚くし、また部署ごとにコメントを受けての調整検討時間を取るなど試してみたことで、「どうしたらより戦略実行が進むか」 「他部署に何をヘルプシークできるか」という建設的な対話が増えてきた実感があります。
Maruko:頻度を減らしても、意味付けを深める設計にできる、と。
Shelly:そうですね。質疑応答でも、他部署に対して「なぜ進んでいないんですか」といった質問ではなく、意味付けや意図を聴く質問が増えてきたことで「前に進むために私たちに何ができるだろう」という会話が増えてきたように感じています。頻度を減らす決断には勇気がいりましたが、その分時間の密度を上げる工夫につながっています。
会議とは、組織能力を育てる場
Maruko:最後に、改めて、会議とはどんな場だと考えますか?
Shelly:いい兆しも見えてきた今、改めて感じるのは、会議は組織能力を育てる機会にできると考えています。Sharing+Principles Sessionのような全社会議。その位置づけややり方には、なにかしらの固定された正解があるわけではありません。組織の状態によって設計を変えていける、いくべきものなのだと感じています。
そして、そこで扱う内容や実施するコンテンツは、何か目新しいことである必要もない。むしろ、「すでにある施策や仕組みをどう使い倒すか」の方が重要なフェーズもあると思っています。これからも自社の今に必要なデザインを考え、よい時間を作り出していきたいです 。
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「会議そのものは、1円にもならない。むしろ、参加者の時間というコストを費やす場である。それでも会議を行う意味。それは、事を前に進める準備を整えるためだ」。そんな一節を管理職向けのプログラムでもお伝えしています。
Sharing+Principles Sessionもまた、情報を伝えることそのものを目的としてはいません。戦略進捗や自社の行動原則をジブンゴトとして捉え、次の行動につなげるための場です。言い換えれば、「次の2か月をどう過ごすか」を考える節目をデザインしている感覚です。
質問し、対話を通じて思考を深め、自分なりの一歩を考える。そうした時間の積み重ねが、戦略の実行や能力開発につながっていく。また、私たちは組織・人材開発を生業としていますので、様々な施策をまず社内で実験し、功罪合わせてクライアントに情報提供できるように取り組んでいきたいと考えています。
(Written by Maruko、Assistant Manager、Brand Enhancement Department)